こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。
行政書士通学講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。
「「及び」と「並びに」は、どう使い分けているのでしょうか?」
そこで、今回は「及び・並びにの使い分け」について解説していきます。
「及び」と「並びに」はどちらも、英語の”and”の意味になる法律用語です。
及び・並びにの両方が、行政事件訴訟法45条1項に使われているので、この条文を題材にして、及び・並びにの使い分けを見ていきます。
行政事件訴訟法45条1項
私法上の法律関係に関する訴訟において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、第23条第1項及び第2項並びに第39条の規定を準用する。
行政事件訴訟法45条1項は、争点訴訟への準用についての条文ですが、「第23条第1項及び第2項並びに第39条の規定を準用する」と、及び・並びにの両方が使われています。
もし、全部を”and”で表すと、次のようになります。
「23条1項 and 2項 and 39条の規定を準用する」
なぜ、「23条1項 and 2項」の”and”には「及び」が入って、「2項 and 39条の規定を準用する」の”and”には「並びに」が入るのでしょうか。
これがわかれば、及び・並びにの使い分けを理解したことになります。
それでは、解説していきます。
「23条1項 and 2項 and 39条の規定を準用する」とあるので、「23条」が準用される場合と、「39条」が準用される場合の2つに分かれています。
さらに、「23条」が準用される場合に、「23条1項」が準用される場合と、「23条2項」が準用される場合の2つに分かれています。
つまり、大きなカテゴリーとして「23条」と「39条」の2つに分かれていて、「23条」の中の小さなカテゴリーとして「23条1項」と「23条2項」の2つに分かれています。
「並びに」は、大きなカテゴリーに使うので、「2項 and 39条」が「2項並びに39条」となります。
「及び」は、小さなカテゴリーに使うので、「23条1項 and 2項」が「23条1項及び2項」となります。
このように、大きなカテゴリーには「並びに」を、小さなカテゴリーには「及び」を使って、使い分けがされています。
それでは、ひとつ問題を出します。
次の”and”には、それぞれ「及び」「並びに」のどちらが入るでしょうか。
行政事件訴訟法25条3項
3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質 and 程度 and 処分の内容 and 性質をも勘案するものとする。
正解は、行政事件訴訟法25条3項の条文をご確認ください。
今回は、及び・並びにの使い分けについてお話をさせていただきました。
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