こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。

 

行政書士通学講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。

「平成26年度過去問、問題30の各選択肢の具体例を教えてもらえませんか?」

 

そこで、今回は「平成26年度過去問、問題30、選択肢2の具体例」について解説していきます。

すべての選択肢の具体例を1度に掲載すると長くなるので、5回に分けて掲載します。

選択肢1の具体例はこちら

次は、選択肢2の具体例です。

 

Bさんが、Aさんから1,000万円借りたので、Bさん自身が大家になっているアパートに抵当権をつけて、登記もしました。

そうすると、Aさんが「対抗要件を備えた抵当権者」になります。

(抵当権の対抗要件は「登記」)

 

アパートには、Cさんが入居していて、毎月10万円の家賃をBさんに支払っていました。

Cさんが「第三債務者」になります。

Bさん(債務者)に対して、債務(今回は家賃の支払い)がある人のことを「第三債務者」といいます。

 

また、Aさんが抵当権の登記をした後で、Bさんは、Cさんから100万円を借りました。

Cさんは、Bさんから貸した100万円を返してもらう権利があります。

 

家賃は、CさんがBさんに支払う義務があるので、Cさんが債務者、Bさんが債権者になります。

一方、100万円は、BさんがCさんに支払う義務があるので、Bさんが債務者、Cさんが債権者になります。

そうすると、家賃と100万円では、債務者と債権者が反対になっているので、100万円のことを、家賃の「反対債権」といいます。

 

その後、Aさんが物上代位権を使って家賃を差し押さえて、Cさんに「家賃は差し押さえたから私のだ」と主張した場合に、Cさんは「家賃はBさんに貸した100万円と相殺したから、Aさんのものにはならない」と主張できるのか、主張できないのか、というのがこの選択肢の内容です。

 

ポイントは、債権(100万円)が、抵当権の登記の「後」に発生していることです。

この場合、CさんがBさんに支払う家賃にも、Aさんの抵当権が有効なことは登記で公表(公示)されています。

 

そこで、裁判所は「対抗要件を備えた抵当権」と「抵当権の登記の後に発生した債権を自働債権にした相殺」では「抵当権」が優先されるので、家賃はAさんのものになる、と判断しました。

(Cさんは、相殺したことをAさんに主張できない)

 

なお、「自働債権」は、相殺を言い出した人がもっている債権のことです。

Cさんが相殺を言い出した場合、100万円が自働債権、家賃が受働債権になります。

 

今回は、平成26年度過去問、問題30、選択肢2の具体例についてお話をさせていただきました。

いつも本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

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