こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。

 

平成30年度の行政書士試験、問題19で、厚木基地の騒音についての判例が出題されました。

(最判平28.12.8:厚木基地騒音訴訟)

 

平成30年度の問題では、判例の文章を使った穴埋め問題でしたが、今後はこの判例の争点や結論について問題が出題される可能性があります。

そこで、今回は「厚木基地騒音訴訟でおさえておきたい2つのポイント」について解説していきます。

 

ひとつ目のポイントは、基地の周辺住民が、騒音被害を理由に、飛行機の運航の差止めを求める場合に、行政事件訴訟法37条の4第1項の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるかどうかです。

判例では、「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる、という結論になっています。

 

<判決文>

以上によれば,第1審原告らの主張する前記第1の3(2)①から③までの自衛隊機の運航により生ずるおそれのある損害は,処分がされた後に取消訴訟等を提起することなどにより容易に救済を受けることができるものとはいえず,本件飛行場における自衛隊機の運航の内容,性質を勘案しても,第1審原告らの自衛隊機に関する主位的請求(運航差止請求)に係る訴えについては,上記の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。

 

ふたつ目のポイントは、基地の飛行機の運航について、防衛大臣の権限(自衛隊機の運航を統括する権限)の行使が、行政事件訴訟法37条の4第5項の「裁量権の範囲を超え又はその濫用」と認められるかどうかです。

統括は「とりまとめる」という意味です。

判例では、防衛大臣の権限の行使は、「裁量権の範囲を超えたり、裁量権の濫用とは認められない」という結論になっています。

 

<判決文>
したがって,本件飛行場における前記第1の3(2)①から③までの自衛隊機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるということはできないと解するのが相当である。

 

以上をまとめると、次のようになります。

 

<ポイント1>

基地の周辺住民が、騒音被害を理由に、飛行機の運航の差止めを求める場合「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるかどうか

⇒ 「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる

 

<ポイント2>

防衛大臣の権限の行使は、「裁量権の範囲を超えたり、裁量権の濫用」と認められるかどうか

⇒ 「裁量権の範囲を超えたり、裁量権の濫用」とは認められない

 

この判例は、裁判所のホームページに掲載されています。

 

今回は、厚木基地騒音訴訟でおさえておきたい2つのポイントについてお話をさせていただきました。

いつも本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

ステップアップファーストは、行政書士試験に合格するために、受講者一人ひとりに合わせたオーダーメイドの試験対策を行う「個別指導」にこだわった行政書士試験対策専門スクールとして、10年間で多数の合格者を送り出してきました。

 

ステップアップファーストの行政書士試験対策講座はすべて個別指導です。

通学講座はもちろん、通信講座でも個別に指導を受けられます。

通学講座は、山梨県外からの受講も大歓迎です。通信講座は全国対応しています。

≫「行政書士試験に合格するために何をどう勉強すればいいのか迷っている」という方へ。行政書士通学講座(個別指導)のご案内